地産地消レポート 地元、食べてます記事一覧

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兵庫県多可町八千代区「マイスター工房八千代」

素材も手間も「ケチらない」 郷土にあるものを「見捨てない」

ここだけの味・絶品の寿司は、地域を大切に思う人たちの手から

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問い合わせ先
マイスター工房八千代
〒677-0103 
兵庫県多可郡多可町八千代区中村46-1
電話・FAX 
0795-30-5516(加工部門)
0795-30-5115(カルチャー部門)


現代農業2006年2月号増刊
「はじめてなのになつかしい 畑カフェ 田んぼレストラン」より

田舎の本屋さんで購入する
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郷土にあるものを「見捨てない」

 「けちらない」一方で、「見捨てない」「もったいない」という精神も大切にするという藤原さん。「マイスター工房八千代は、まさにこの見捨てない精神から成り立っている」と説明してくれた。

 いわく、
(1)建物を見捨てない――加工販売所はJA支所跡、カルチャー部門は保育所跡を再利用。
(2)田舎を見捨てない――田舎の伝統保存食や地場産品を見直す。
(3)人を見捨てない――年齢や能力で雇用層を限らず、意欲ある地元の人材を大いに活用する。
(4)素材を見捨てない――調理加工の際に出る端材も使い切る。農家が出荷できない規格外の野菜も利用する。

 最後の「素材を見捨てない」という発想から生まれたユニークな開発商品も数多く、こちらも人気は上々だ。

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「見捨てないシリーズ」3種もそれぞれに個性的な味。上から「うなきゅう」「櫛恋巻き」「播都恋巻き」

 まずは通称「見捨てないシリーズ」の寿司3種。

 1つめは、「櫛恋(しつれん)巻き」。サバを成形する際に失敗したものや、残った切れ端を使う。これに、キュウリの切れ端と規格外の大葉(大きくなりすぎて農家が出荷できない)を加えて具材にした。名前の由来は、「涙が出るほど辛子をたっぷり塗ってあるから」。

 2つめは「播都恋(はつこい)巻き」。こちらは、鮭寿司をつくる際に出るサケの切れ端をメインに、櫛恋巻き同様にキュウリと大葉、それにタマネギのスライスをたっぷり。マヨネーズを添えたサラダ感覚で、タマネギと鮭のほのかな甘みが「初恋の味」なんだとか。

 3つめは「うなきゅう」だ。鰻寿司をつくる際に出るウナギの切れ端に、キュウリの切れ端、卵焼きを加えたものである。

 日によっては、「施設長の気まぐれ巻き」が店に並ぶことも。藤原さんがその日に余った具材を見つくろい、即興でつくるというこれも“レアもの”。

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地元伝統の凍み豆腐を粉末にして加えた菓子三種と、おからやシイタケ粉、パン粉などを生かした山里コロッケ。見捨てられがちな素材を生かすアイデアが光る

 さらに、総菜のなかで人気が高い「山里コロッケ」にも、通常なら廃棄してしまう素材が3つも入っている。まず、地元特産の干しシイタケの粉。袋詰めの際などに自然に出るものを使う。さらに、八千代区内にあるもう1つの加工施設「エアレーベン八千代」で豆腐をつくる際にできるおから。そして、衣に使うパン粉は喫茶マイスターで出るパンの耳を粉末にしたものだ。

 このほか、戦前まで八千代区で盛んに生産されていた凍み豆腐(高野豆腐)を見直そうと、粉末にしてさまざまな商品開発を試みてきた。当初はハンバーグなど何にでも入れてみたが、最終的にはドーナツ、ケーキ、揚げおかきの菓子3種類に定着し、人気商品になっている。