地産地消レポート 地元、食べてます記事一覧

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兵庫県多可町八千代区「マイスター工房八千代」

素材も手間も「ケチらない」 郷土にあるものを「見捨てない」

ここだけの味・絶品の寿司は、地域を大切に思う人たちの手から

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問い合わせ先
マイスター工房八千代
〒677-0103 
兵庫県多可郡多可町八千代区中村46-1
電話・FAX 
0795-30-5516(加工部門)
0795-30-5115(カルチャー部門)


現代農業2006年2月号増刊
「はじめてなのになつかしい 畑カフェ 田んぼレストラン」より

田舎の本屋さんで購入する
田舎の本屋さんで購入する

ここにしかない味を追求し続けたい

 ユニークな視点での商品開発や、地元産の旬の野菜や米を用いて地域の農業振興に貢献していることなどが外部からも評価され、近年さまざまな賞を相次いで受賞した。平成16年2月には農水省の食アメニティコンテストで農林水産大臣賞を。平成17年7月の全国農業コンクール(主催・毎日新聞社ほか)では名誉賞、続く農林水産祭(主催・農水省ほか)でも農林漁業振興会長賞を受賞した。

 視察や取材は連日。藤原さんが講演に呼ばれることもある。有名になればなるほど、売れれば売れるほど「質を落とせない」というプレッシャーがかかる。

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味もボリュームも大満足の巻き寿司、鯖寿司、鮭寿司。喫茶に持ち込めばできたてを食べられる

 でも、藤原さんをはじめスタッフから笑顔が消えることはない。自分たちのつくる商品、そして自分たちの暮らす地域への自負と誇りがあるからだ。

 「お客様は、寿司屋にはない味、おふくろの味のようでおふくろにはできない味、つまりここだけの味を喜んでくださるんです。しかも、店に来れば地元のおばちゃんががんばってつくっているのが見える。たまに言葉も交わす。そこには顔の見える安心感があるんです。そして、周囲のおいしい空気、美しい自然の景観も楽しめる。それらをひっくるめてファンになってくださってるんだと思いますね」

夢は、地元に工房専用の農園を

 仲間とともに働く喜びを実感するにつれ、スタッフの感性や考え方も豊かに育ってきた。

 「早番は朝3時とか4時とか、まだ月が出ているうちから入るでしょ。だから当初はみんな敬遠してた。でも最近では、すすんで入ってくれる。そして、『今日は月や星がきれいやった』『朝霧に包まれた田んぼが本当にきれいで。朝早くきてよかった』とか言うんです」

 売上げが伸び、年に2回スタッフ全員で旅行に行き、ボーナスは年3回支給できるようになった。給与は多い人で月20万円を超える。

 今後については、「これ以上販売量を増やすよりも質の向上に力を入れたい」と藤原さん。そのためにも、「マイスター工房専用農園を八千代区内につくりたい」というのが目下の夢のひとつだ。現在、米は全量八千代区内から調達しているが、野菜は需要に供給が追いつかない状態。このため、当面は調達エリアを県にまで広げざるを得ない。だが、いずれは「うちの商品に使う野菜はここの畑でつくってるんですよ」と言えるようにしたいという。

 また、「カルチャー部門で行なっている料理教室の内容を充実させたい」とも。

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スタッフの顔ぶれ。朝9時のミーティング兼朝食も和気あいあい。

 「今はお年寄りや子ども向けに簡単な料理を教えてるんやけど、若いお母さんたちから“昔ながらの料理法を教えてほしい”という要望があるんです。ワラビのあく抜きとかタケノコの調理法とかね。私が先輩や姑さんに教えてもらった伝統の技を、いずれは伝えていきたい」

 郷土に根ざし、そこにある食材と人のパワーを最大限に生かす取り組みは、これからも進化し続けていくだろう。

■マイスター工房八千代 〒677-0103 兵庫県多可郡多可町八千代区中村46-1 電話・FAX 0795-30-5516(加工部門) 0795-30-5115(カルチャー部門)

(種森ひかる フリー記者)