地産地消レポート 地元、食べてます記事一覧

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山形県小国町 小玉川・樽口・伊佐領集落

山の恵みを生かした観光ワラビ園は「コミュニティの源」

集落の山を「観光ワラビ園」に、「山菜の学校」に

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山形県西置賜郡小国町大字小玉川715
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現代農業2006年8月号増刊
「山・川・海の「遊び仕事」」より

田舎の本屋さんで購入する
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あくまで地元の楽しみの場として守る集落も

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山焼きに向かう伊佐領のみなさん。

 小国町の観光ワラビ園は11ヵ所、300ヘクタールと前述したが、これは小国町の観光ワラビ園組合に所属しているワラビ園の話であって、町には、他にも個人や集落で維持管理しているワラビ園がいっぱいある。そして、その利用の仕方はさまざまだ。

 「おぐに山菜の学校」でお世話になった、斉藤さんの地元は、町の中心部を走る国道沿いに位置する、戸数60戸の伊佐領という集落だが、この伊佐領にも集落で持っているワラビ園が、およそ40ヘクタールもあるという。だが、伊佐領の場合は、観光ワラビ園のようなかたちで外の人に開放するのではなく、地元の人たちが、自家用に使ったり、親戚や友だちにあげるワラビを採るための、楽しみの場として守っている。

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伊佐領の「山菜まつり」。公民館活動として続けている。

 「集落の共有財産を管理している"伊佐領共有会"というのがあるんですよ。昔から住んでいる人は正組合員、移住してきたような人は準組合員で、それぞれ、6,000円、8,000円の年会費を支払うことになっている。スギ林や雑木林をいっぱい持っていて、木を売ったときの売り上げなんかは正組合員が分けてもらう資格を持っているとか、まぁ、いろいろあるわけですが、山菜採りに関しては、組合員であればOK。売るほど採ってもらってかまわない。そんなかたちでやっています。それと、1軒につき10人までは、1,000円支払えばワラビ園に入れてもいいことになっている。だから、友だちが遊びに来たときなんかに、ワラビ採りに連れて行ったりしています。ワラビ園の管理は共同作業で行なっていて、山焼きをする時は、60軒から総出でやっているんですよ」と、斉藤さん。ちなみに斉藤さんは、伊佐領共有会の役員、部落会の会長、公民館の館長、地元のお寺の総代など、数えきれないほどの役を務めている、伊佐領集落の中心的な存在だ。

もうけでなく交流が目的 年に一度の「山菜まつり」

 基本的には、集落住民だけで利用しているワラビ園だが、10年ほど前から、年に一度、地域おこしを目的とした「山菜まつり」を開催し、外の人にもオープンにするようになった。

 「たくさんの人に来てもらって、この集落を見てもらえたらいいんじゃないかと思いまして……。来てくれた人がいっぱい採れるように、山菜まつりの数日前からは、地元の人も山に入れないように山止めします。今ではすっかり山を覚えて、40kgも採っていく常連さんもいますよ」

 ワラビ採りをしたあとは、ワラビ園に囲まれたキャンプ場で交流会を開き、味噌汁や山菜焼きそばやビールやお酒などをふるまい、歌をうたい、おおいに盛り上がる。参加費は2,000円。定員は250人だが、大好評の「山菜まつり」のチケットは、毎年、あっという間に売れてしまうそうだ。

 「もうけでなく、あくまで交流が目的なんで、終わったあとに、集落の人たちで行なう反省会を含めて、とんとんくらいになればいいかなと。それと、地区の人が一緒になってイベントをすると、まとまりがでてくるでしょ。そういうこともねらっているんです。この集落は、おかあさんがたも、若い人たちも仲がよくて、とてもいい雰囲気なんですよ」

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小学校の前庭で「山菜まつり」の反省会をする伊佐領のみなさん。

 前出の高橋さんが、「ワラビ園は共同作業がないと成り立たない、ワラビ園は『コミュニティの源』『土の公民館』なんだ」と言っていたが、渡邊さんや斉藤さんに話を聞いているうち、その言葉の意味することが、しみじみ伝わってきた。それと同時に、自然に生かされ、自然とともに生きる、小国町の人たちの暮らしが、とてもうらやましく思えてきた。

泡の湯温泉「三好荘」 〒999-1522 山形県西置賜郡小国町大字小玉川715 電話0238-64-2220 FAX0238-64-2221 http://www.awanoyu.com/

(おおいまちこ フリー記者)