地元の食材たっぷりの学校給食で、いきいき町づくり
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問い合わせ先
JA東とくしま よってネ市
〒771-4303
徳島県勝浦郡勝浦町大字生名字太田45-1
電話0885-42-4930
営業時間7:00〜15:00
定休日 月曜

地場産給食のシステムづくり

地場産の米と野菜を給食に

 勝浦町の地場産給食は、ごはんからはじまった。
 1965年(昭和40)、勝浦町給食センターができて完全給食になって以降、野菜などは地元の青果業者から仕入れ、米飯給食が取り入れられてからは、センターに炊飯設備がないことから炊飯は県内のライスセンターに発注していた。

 地場産給食をはじめるにあたって、まず、給食センターに炊飯設備を完備。いっぽう、JA東とくしま勝浦支所では、勝浦町沼江(ぬえ)地区に学校給食用の水田を確保し、2002年(平成14)4月から、地場産米を使っての炊きたてごはん給食がはじまった。

 地場産給食のカギは、必要な食材を安定供給できるかどうかである。
 野菜や果物の生鮮物は献立に応じて、何種類もの品目が必要なので、米ほど簡単でない。JA直売所「よってネ市」と給食センターとは、地元の子どもたちに地場産の野菜や果物を使った給食を食べてもらいたいという思いを共通項に、何度も話し合いを重ねた。

 そして地場産米の給食開始の前年、給食に使用する地場産の野菜を選定し、年間必要量、月別必要量を計算し、作付け計画を立案。「よってネ市」に出荷している生産者200人から、野菜づくりがうまいと定評のある20人に学校給食用の野菜の作付けを依頼した。

 作付けの依頼方法は具体的である。たとえば春キャベツはAさんとBさんに何?ずつ、夏のミニトマトはCさんとDさんに何?ずつというように、それぞれの生産者に品目、数量を割振りしていった。また、給食センターの管理栄養士は20人の生産者の畑を1軒1軒まわってあいさつを交わし、給食に食材を提供する人と顔見知りになっていった。

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早朝から「よってネ市」に続々と運びこまれる野菜・果物。花木や加工品も多い。地場産給食には20人の生産者がつくった食材が使われる。

給食は本来の味を活かすレシピに

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本来の味を活かすよう給食の味付けは薄味に。子どもたちはほとんど残さず食べる。

 2002年(平成14)12月、JA直売所「よってネ市」から仕入れた野菜・果物を使った学校給食がはじまった。
「小学1年生の子どもが『このほうれんそうは甘くておいしいね』と目を輝かすのです。苦労したかいがあったと思いました」と、給食センター側として、地場産給食の立ち上げに尽力した管理栄養士の早川良子さんは語る。

 ブロッコリー、ほうれんそう、白菜…、朝どりの新鮮な野菜は、甘く柔らかい。「小さいときから、本物の味を舌で覚えてもらいたい」と、早川さんはできるだけ薄い味付けで野菜本来の味を引き出すよう意識して、レシピを組み立てるようになった。給食メニューには、一見、子どもが敬遠しそうな酢の物、おひたしなどの和風料理もあるが、勝浦町の子どもたちはほとんど残さず食べるという。

地元の人が気づかない宝が眠っている

 6年間の実績を積み重ねている勝浦町の地場産給食。その仕掛け人ともいえる、前町長の川口幸一さんの話を聞いた。

 2006年(平成18)2月に退くまで、3期12年にわたって町長を務めた川口さんが就任したのは1994年(平成6)。1991年(平成3)のオレンジ輸入自由化によって、勝浦町のみかん産業は大打撃を受けていた。それだけではない。バブル崩壊による国の交付金の削減、公共事業の減少、誘致企業の撤退などがあいつぎ、新事業を起そうにも財源がない。

 「財源がない中で、地域を活性化するにはどうしたらいいか、お金をかけないで、勝浦町のよさをアピールするにはどうしたらいいか、考えに考えました」
 そんななか、川口さんがふと気をとめたのは、ヨーロッパのグリーンツーリズムである。都会に住む人が農村に滞在し、交流するという休暇の過ごし方だが、その大前提として農村に農村としての魅力がなければならない。

 「勝浦町には、地元の人がまだ気づいていない宝が眠っている。それは田舎そのままのよさです。これを活力として、行政に活かそうと思いました」そのためにもまずは、地元の人に勝浦町のよさを再認識してもらうことだと、「地産地消」と「食育」の2本の柱をかかげた。

 「地元の食材を学校給食に活かせれば、子どもの体力づくりになるだけでなく、農業のたいへんさを知り、育ててくれる親への感謝の気持ちをもてるようになります」
地元の作物は、子どもたちの体の栄養になるだけでなく、こころの栄養にもなる。2005年(平成17)に食育基本法が成立する以前から、川口さんは食育の大切さを見通していた。

 町長職は3期目までと決めていた川口さんは、JA勝浦支所、学校給食センター、教育委員会などを巻きこみながら、3期目開始の2002年(平成14)、地場産給食をスタートさせたのである。


◆参考サイト:
《中国四国農政局 統計・農林漁業現地情報コーナー》
 http://www.chushi.maff.go.jp/joho/genchi/18chisan/36_1.htm
 学校給食における地産地消の取組事例として、勝浦町学校給食運営委員会が紹介されています。

《都市と農山漁村の共生・対流〜グリーンツーリズム》
 http://www.maff.go.jp/nouson/chiiki/gt/index.html