地元の食材たっぷりの学校給食で、いきいき町づくり
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問い合わせ先
JA東とくしま よってネ市
〒771-4303
徳島県勝浦郡勝浦町大字生名字太田45-1
電話0885-42-4930
営業時間7:00〜15:00
定休日 月曜

地場産給食を支えていく、広げていく

店長は畑で菜っ葉をぬく

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勝浦町の地場産給食を支える「よってネ市」店長の西尾富美子さん。必要であれば畑を走りまわって給食用の野菜をそろえることも

 学校給食に地場産の野菜を使うことは、生産者も給食センターも、そして「よってネ市」もはじめての経験だった。
「生産者は野菜や果物づくりのベテランですが、天候によっては思うように作物ができなかったり、害虫やシカ、イノシシなどの動物に畑を荒らされて、収穫できないこともたびたびあります。当初は品ぞろえがうまくいかず、JA直売所としても苦労しました」と、店長の西尾さんは語る。

 生産者は指定された品目を指定された日に、何キロもまとめて出荷することに慣れていない。給食センターの調理員は、サイズが不ぞろいの野菜を扱うことに慣れていない。地場産給食の開始当時から店長職にあった西尾さんは、生産者と給食センターの仲立ち役として、500食の給食に使う野菜を確保するために、文字通り走りまわった。

 たとえば、「今日届いた小松菜は傷みが多い」と給食センターから連絡がある。小松菜の廃棄量が多ければ、給食がつくれない。そこで西尾さんは小松菜の出荷者に電話し、畑に小松菜が残っていなければ、次に出荷する予定の生産者に電話して、なんとしてでも探しまわる。「ときには畑に直接行って、小松菜を引っこ抜いて、そのまま給食センターに届けたこともありました(笑)」と、給食のために労を惜しまない。

 給食センターから、キャベツに虫がついていた、ネギのサイズがばらばらで使いにくいなどのクレームがついて、西尾さんが生産者に連絡するとすっかり自信をなくしてしまうこともあった。そんな時も西尾さんは、「もう少し」、「次は大丈夫だから」と励まし続け、生産者もJAが開く勉強会に参加するなどして栽培方法を工夫。当初、安定して出荷できる野菜は、じゃがいもと玉ねぎだけだったが、今では大小のサイズはあっても、品質のよい野菜を給食センターに出荷できるようになった。

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学校給食用の食材。食材は農家が皮むきなどした状態でコンテナに入れて毎朝、直売所に届けられる

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「よってネ市」に届けられた野菜は毎朝8時頃、車に乗せて、給食センターへ向けて出発。約10分ほどで給食センターへ到着する

畑を広げる生産者、地場産90%は信頼のあらわれ

 直売所や学校給食用の取り組みが始まる以前は、畑でできた野菜の売り先もなく、近所に配り、それでも余って廃棄していた生産者もあった。給食用の野菜は年間の作付け計画を立てるので、廃棄するほど余る心配はなく、その分、確実に収入になる。

 給食用の野菜を出荷している生産者のなかには、給食用野菜をもっとつくりたいと、耕す人がなく放置されている休耕田を借りたり、さらには新規に購入までして作付け面積を増やす人もあるという。そして子どもたちが食べる野菜をつくるからには、できるだけ低農薬の安心・安全な野菜をつくる努力をいとわない。

 「当初はこちらからお願いして、野菜をつくってもらっていましたが、今では、生産者のほうからもっとつくらせてほしいと頼まれます」と、西尾さん。
 「勝浦町の生産者のみなさんは「よってネ市」の信用にかけて、品質のよいものを給食に出してくださいます」と、給食センターの早川さんは直売所との連携に全幅の信頼を寄せている。

 前にも述べたように学校給食センターで使う食材は、野菜・果物・乾物など38品目を「よってネ市」で仕入れ、38品目のうち主要20品目については、90%を地場産でまかなっている。たけのこ、おくら、とうもろこし、とうがん、菜の花、春菊、ぽんかん、さらには加工品の切干大根、干ししいたけなど、調達できる食材の種類も年々増えた。みかん、すだち、ぽんかん、すだち酢など、地元特産の食材もふんだんに使われている。

店長は給食センターに提案もする

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「とうがんの作付けが多いので、給食で使えないか」。直売所から給食センターへ提案もする

 500食という給食数は、勝浦町の農業生産の規模で多すぎず、少なすぎず、「ちょうどよい数」と、西尾さんはいう。
 毎月25日頃、学校給食センターから翌月分の給食献立表が届くと、「よってネ市」扱いの種類と量を確かめ、さっそく生産者に発注する。農家の人は昼間、畑に出ていることが多いので、連絡がつくのはようやく夜になってからのことも少なくない。

 「よってネ市」では野菜の値段は、市況に合わせてJAでアドバイスするなどして、生産者自身でつけることになっており、給食用の野菜も同様である。いっぽう、勝浦町の場合、学校給食は1食=260円。野菜の価格が安ければ、それだけ献立の幅が広がることになり、給食センターから「よってネ市」に収穫量の多い野菜はないかと問い合わせがくることはしょっちゅうだ。

 「よってネ市」からも毎月、来月は「これを使ってほしい」と連絡を欠かさない。
 つい先日も西尾さんは、「今年はとうがんの作付けが多いので、給食に使えないか」と、給食センターに問い合わせた。すでに翌月の献立はたっていたが、急きょ、とうがんスープの献立に変更。生産者、「よってネ市」、給食センター、3者がおたがいに気心が知れているからこそできる柔軟な対応である。


◆参考サイト:
《JA東とくしま》 http://www.ja-higashitks.or.jp/