地元の食材たっぷりの学校給食で、いきいき町づくり
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問い合わせ先
秋川ファーマーズセンター
〒197-0814
東京都あきる野市二ノ宮811
電話042-559-1600
営業時間9:00〜17:00(バーベキューコーナーは20:00まで)
定休日 年末年始と不定期休を除いて、無休

お客さんを決してがっかりさせない、生産者が誇りとやりがいを感じる地産地消の可能性

嫁姑の二人三脚でハウス野菜を出荷

 センター長の平野さんは、「直売所の仕事をしていちばんうれしいことは、夕方、出荷した農作物の売れ残りを確認して、『全部売れちゃったよ』と、ニコニコ顔の農家さんと話すこと」という。

 平野さんに案内してもらって、きゅうりがおいしいと評判の登録生産者、岡野さん宅を訪ねた。岡野さん宅は姑の文子さんと嫁の久江さんの二人三脚で、おもにハウス13棟で野菜をつくり、直売所に出荷している兼業農家である。

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岡野文子さん、久恵さん。毎日、二人三脚で丹精こめた野菜づくりに励んでいる。

 「うちのきゅうりは水みずしくて甘くておいしいの」と文子さんが自慢すれば、「直売所があるから、朝収穫して、新鮮なうちに出荷できます」と久江さん。「栽培のコツは灌水」とのことだが、息の合ったコンビで日々、キメこまやかな作業をやっているからこその評判だろう。他にトマト、なす、かぶ、ほうれんそうなどをつくり、値段は新聞相場など参考にして研究しながら付けている。

 文子さんは、「今がいちばん楽しい」と、84歳とは思えない張りのある若々しい声で語る。あきる野市周辺は以前は養蚕が盛んで、文子さんが嫁いだ当時、岡野家でもカイコを飼い、マユを出荷しており、おカイコ仕事と田畑の農繁期とが重なる春から秋にかけては、幼子をかかえながら休む間もなく、働きに働いた。それが今では、気心の知れた嫁といっしょに、自分のペースで農作業をすることができる。嫁姑の2人そろって、ほとんど毎日直売所に出荷作業にやってくる仲むつましい姿から、実の母娘に間違えられるという

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84歳になる岡野文子さんだが足腰はしゃんとしていて、姿勢がよい。「今がいちばん楽しい。」直売所のお客さんのために、やりがいのある毎日が続く。

 これから5月6月にかけて、きゅうりの最盛期となり、多いときは1日に2回出荷する。直売所には岡野さんのきゅうりを目当てにやってくるお客さんもあるから、忙しくてもやりがいのある日々が続く。

新規に就農する人も増えている

 やりがいのある直売所に、新しい人たちも加わりはじめている。
 農畜産物直売コーナー運営委員会会長の谷澤さんの息子さんは、「勤め人より、農業にやりがいがある」と数年前に脱サラして就農。現在、谷澤さんは息子さんとともに、75アールの農地を耕して野菜をつくっている。また、50アールの小規模な農地に、年間50種類もの野菜をつくり、売り上げを伸ばしているNさんの息子さんもいったんは他所で就職したが、故郷での農業に惹かれてもどってきた。

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「30歳前後でUターン就農する人が増え、生産者120人中、30〜50歳台の人が20人以上になりました。」

 「このところ、30歳前後でUターン就農する人が増え、生産者120人中、30〜50歳台の人が20人以上になりました」と、谷澤さんはうれしそうだ。

 登録生産者のなかには、定年帰農する人も増えている。

 JA東京中央会などが団塊の世代を対象に開く「フレッシュ&Uターン農業後継者セミナー」には、第2の人生での生きがいをめざして、秋川地区から毎回2、3人が参加。

 「農家は意欲がないといわれますが、一生懸命つくった農作物の販売手段があり、それが売れれば、やる気が出るんです。農業を続けたくなるのです。私は若いころは農業が好きでなかったが、今になって思うといい仕事ですよねえ」

 ひところは耕す人がなく、荒れるにまかされた農地が目立っていた秋川地域だったが、今では年々、休耕地が少なくなっているという。

市民の憩いの場としても

 午後3時。農産物直売コーナーの野菜は、もうほとんど残っていない。それでも来店客は途切れず、三々五々店内を巡りながら「秋川物産コーナー」の野菜や調味料などを選んでいる。戸外に設けられた植木・盆栽コーナーの庭木を品定めする人、秋川観光協会運営の食堂「るの亭」で遅い昼食をとる人と、開店直後とはちがったのんびりとした空気が流れる。

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秋川観光協会が運営する食堂「るの亭」には、直売所の野菜をふんだんに使ったメニューも。(すいとん、季節限定メニュー)

 4月、春らんまんの陽気とともに、たけのこ、山菜が出そろうようになり、続いて、「とうもろこし街道」とも呼ばれる、五日市街道自慢のとうもろこし、さらにはトマト、きゅうり、なす、ピーマン、いんげんなど、夏野菜の本番となる。そして秋には、かぼちゃ、さつまいも、きのこ類、それから梨、ぶどう、栗、りんごなどの果物も並ぶようになる。また毎年11月には、2日間にわたって、新鮮野菜の格安販売、卵のつかみどりなど、子どもから大人まで収穫の秋を楽しむ、「収穫祭」が行われる。

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もちつき大会を実施するなど消費者との交流の場づくりにも取り組んでいる。また、社会科見学や体験学習の学習施設としても利用され、地元あきる野市秋川地区の小中学生が毎年訪れている。(もちつき:11月から5月ゴールデンウィーク日・祭日、雨天中止)

 戸外の植木・盆栽コーナーを含めて、5千m²の施設の一角には、初夏から晩秋にかけて予約客でいっぱいとなる屋根付きのバーベキューコーナーもあり、直売所の周囲には、173区画の「市民農園」が広がっている。秋川ファーマーズセンターは地元産の新鮮野菜を販売する「農畜産物直売コーナー」を核に、四季折々の野菜の買い物を楽しみ、そして複合的施設が備わった敷地をのんびり散策しながら憩える場所となっている。

 「午前中、できれば11時までにご来店くだされば、季節の新鮮な野菜がそろっています。お客さんを決してがっかりさせません」と、センター長の平野さんは付け加えた。

(八田尚子 フリーライター)