地元の食材たっぷりの学校給食で、いきいき町づくり
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問い合わせ先
鮫川村農作物加工・直売所〈手・まめ・館〉
〒963-8401
福島県東白川郡鮫川村大字赤坂中野字巡ケ作116
電話0247-49-2556
FAX 0247-49-2445

営業日
1月1日〜3日を除く毎日営業
営業時間
・直売所
10月〜3月
am9:30〜pm6:00
4月〜9月
am9:00〜pm7:00
・食堂
Lunch time
am11:00〜pm2:00
Cafe time
am10:00〜am11:00/
pm2:00〜4:00

お年寄りに元気になってもらいたいから、“豆で達者な村づくり”

合併しない道を選んだことから

 かつては林業、養蚕、葉タバコやコンニャク芋栽培が盛んだった鮫川村は、輸入自由化による価格下落、減反などの影響で、農業生産額はこの20年間で半減ちかくに落ち込んだ。農業従事者の高齢化が進み、遊休地も増え続けている。

 2003年(平成15)、村のかかえるマイナス要因を近隣2町との合併によって乗り切ろうとする合併案が具体化した。村では激しい議論がわきおこり、ついに住民投票へ。合併反対が70%を占める結果となり、同年9月、合併に同意しなかった村民に推されて、当時村議会議長だった大樂(だいらく)勝弘さんが村長に就任。大樂村長のもと、農業を基幹産業として復活させ、その軸を大豆にすえる新たな村づくりが開始された。

 1889年(明治22)の町村制施行により誕生した鮫川村は、数年おきに冷害に見舞われながらも、村民みんなで協力して苦難を乗り越えてきた歴史がある。大楽村長の片腕として“豆で達者な村づくり”プロジェクトを担う、鈴木治男さん(企画調整課長)は「小さい村だからこそ、自分たちの身近なところで意思決定ができる。このことを大切にしていきたい」と語る。

収穫した大豆は全量を村で買い上げる

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「生まれ育ったこの村を大切にしたい」と、企画調整課長の鈴木治男さん

 村のお年寄りたちは山間の寒冷地で農業を営みながら、その知恵と技術で鮫川村の基幹産業・農業を支えてきた人々である。自家用の味噌を仕込むために、昔からずっと大豆を栽培し続けている人も少なくない。そこで、人口の3分の1を占める60歳以上のお年寄りに大豆をつくってもらって、村全体で収穫の喜びを分かち合いたい。収穫した大豆は村で味噌や豆腐に加工して、やりがい、生きがいを実感してもらいたいと、大樂村長の発案で“豆で達者な村づくり”プロジェクトが始まった。

 大豆の加工品のうち、村の毎日の食生活にいちばん欠かせないものは、昔は各家々で手づくりしていた味噌である。プロジェクトチームでは大豆の栽培計画を立てるにあたり、村民は年間どれくらいの味噌を消費しているのか、聞き取り調査を行った。

 その結果、村全体で年間30t、村民1人当たり7kgという数字が出た。全国平均2kgの3.5倍である。昔から村でつくられてきた味噌は、大豆1:麹1の割合なので、味噌づくりに必要な大豆は15tとなる。しかし、当時、村の大豆生産量は年間わずか5tだった。

 プロジェクト発足の翌年の春、大豆をつくりたいと名乗りをあげた希望者102人に、500円/1kgの大豆の種を100円/1kgの格安価格で配布。大豆の主要品種は、骨粗鬆症やがんに効果があるといわれるイソフラボン含有量が既存種の1.5倍以上あるという、福島県推奨品種の「ふくいぶき」である。

 村ではまた、県の「園芸畑作等産地強化事業」補助金の交付を受け、大豆脱粒機2台と選別機1台を購入。10月の収穫期には脱粒機が栽培農家を回るシステムをつくった。このように、村おこしに国や県の補助金を積極的に活用していることも、鮫川村の特徴である。

 初年度は台風と長雨続きであいにくの不作となったが、大豆の品質検査には穀物検査員の資格をもつ大樂村長があたり、1等からくず豆まで、1袋25kgにつき3000円の生産奨励金をつけて、全収量7.2tを村で買い上げた。

大豆栽培面積、収穫量は3倍もの増加

〈大豆の栽培者数・栽培面積〉
年度 栽培者 栽培面積(ha) 買い上げ収量(t) 買い上げ価格
2004 102人 5.52 7.2 228万円
2005 135人 10.25 16.4 397万円
2006 170人 14.20 15.7 607万円
2007 166人 16.31 21.2 799万円
2008 165人 18.41    
(鮫川村役場農林課作成資料より)

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村で栽培する大豆の品種は「ふくいぶき」

 村のおよそ4分の3を山林が占め、山林に囲まれた傾斜地に田畑が散らばる鮫川村。大豆栽培面積は1人あたり10a未満、収量は130kg/10aと決して多くはないが、村全体の栽培面積、収量は右肩上がりで伸びている。栽培者は小規模だからこそ、農薬や化学肥料に頼らず手まめに除草し、細やかに成育を見守る。

 今年(2008年)5月、村役場の農林課職員が各集落を回って、165人の栽培希望者に100円/1kgの「ふくいぶき」種を配布。5月下旬?6月中旬に各家で種まきをすませたところだ。

 大豆生産を支える、お年寄りの労力に報いる収入を保証しようと、5年目の今年は大豆の買い上げ価格を引き上げ、60歳以上の栽培者には長寿祝い金を加算することに決定。1袋25kgあたりの買い上げ価格は、1等→1万円+長寿祝い金2500円、2等→8750円+2500円、3等→5000円+1000円となる。

 長寿祝い金の財源には、“豆で達者な村づくり”プロジェクトが国から評価されて受けた、「特別地方交付税交付金」をあてることにした。国産大豆の買い上げ価格は平均300円/1kgの今日、鮫川村では1等になると500円/1kgの売り上げとなる。村のお年寄りたちは昔取った杵柄で、腰をしゃんと伸ばして畑に出るようになった。

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「ふくいぶき」はイソフラボンの含有量が高い