地元の食材たっぷりの学校給食で、いきいき町づくり
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問い合わせ先
鮫川村農作物加工・直売所〈手・まめ・館〉
〒963-8401
福島県東白川郡鮫川村大字赤坂中野字巡ケ作116
電話0247-49-2556
FAX 0247-49-2445

営業日
1月1日〜3日を除く毎日営業
営業時間
・直売所
10月〜3月
am9:30〜pm6:00
4月〜9月
am9:00〜pm7:00
・食堂
Lunch time
am11:00〜pm2:00
Cafe time
am10:00〜am11:00/
pm2:00〜4:00

大豆から広がる地産地消の学校給食、若い人のUターン

農業のワザを次世代に伝えたい

 〈手・まめ・館〉では、1丁150円で「達者の豆腐」を販売しているが、原価計算をするとじつは1丁180円になる。利益を度外視して180円で販売したとしても、30円の差は大きく、だれでもいつでも食べられる豆腐の値段ではない。そこで村の一般会計から1丁につき30円の補助金をつけ、販売価格を150円に設定した。

 「村のみんなで豆腐を食べて元気になり、医療費が削減できるなら村全体の収支はとんとんになる。小さい自治体だからこそ、お互いに支えあうことが大切です」と、大樂勝弘村長は語る。

 「日本食は、味噌、醤油、納豆、豆腐などの大豆製品を大切にしてきた食文化なんですね。昔からこの村でもつくってきた大豆を、地産地消につなげたい」

 大豆による村おこしで村長が考えたことは、お年寄りが畑に出て、心身ともに元気になってもらいたいということ。もうひとつは、農業のワザを次世代に伝えてもらいたいということだ。

 「村の農林業が最盛期だった昭和40年代前半は、今のように機械化されておらず、手作業で農作業に取り組んでいた。ですから、70代以上のお年寄りは鳥肌が立つような、すばらしい農業の技術を身につけているのです」田植え機で植えるより早い、手植えのワザ。そんなワザをきちんと残すには今しかない、と村長は何度も繰り返し語った。

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〈手・まめ・館〉では大豆製品などの通信販売も行っている
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大豆は四ツ葉が出たらもうハトにやられる心配はない

〈手・まめ・館〉と地産地消給食

 鮫川村独自の大豆栽培・買い上げシステムと、〈手・まめ・館〉を核とする大豆製品の加工・販売などが軌道にのり、いま村では、大豆の地産地消を出発点とするさまざまな動きが生まれている。

 〈手・まめ・館〉に、生産者も参加する「学校給食部会」ができ、学校給食に使う野菜の必要量を生産者に提案。毎日のように給食に使う人参、じゃがいも、玉ねぎの3品はとくに作付量を増やしてくれるよう頼んだところ、生産量が大幅に増加した。

 また、昨年度(2007年)から学校給食の炊飯は〈手・まめ・館〉が請け負うことになった。週4日の米飯給食の日は、、小学校2校中学校1校計400食をクラスごとの炊飯器で米を炊き、〈手・まめ・館〉から各学校に届ける。米は鮫川村でとれた、農薬・化学肥料5割減の特別栽培米「ふくみらい」だ。

 大豆製品はもちろん、野菜、コメ、豚肉と、年を追うごとに地産地消食材の使用率が増え、昨年度は鮫川産使用率が38%にもなった。福島県産を含めると50%になる。福島県の地産地消給食率平均は11%だから、いかに高率かわかるだろう。食材の地産地消の割合と炊飯給食の日数が増えるにつれて、凍み大根、芋がら、じゅうねん(えごま)など、地元の伝統的な食材もよく給食献立に登場するようになった。

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鮎川村の小中学校は週4日、村内産米の米飯給食
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給食のごはんは〈手・まめ・館〉で炊いて各学校に届けられる

若者が村に帰ってくる

 “豆で達者な村づくり”開始から4年。今年1月には「達者の味噌」が福島県ブランド認証産品の認定を受け、福島県を代表する産物のひとつに選ばれた。また、年間売上目標を3000万円でスタートした〈手・まめ・館〉は、おおかたの予想に反して、昨年の年間売上額は8千万円近くになった。

 「〈手・まめ・館〉の売り上げと大豆生産者への支払いを合わせると、9200万円超の産業が村に誕生したことになります」と、大樂村長。現在は3人の村役場職員が〈手・まめ・館〉に出向して経営を支えているが、「ゆくゆくは企業化して、地元の産業として発展させたい」と、大豆から人と経済が動き、大豆から広がった夢を語る。

 村がいきいきしてくると、若者にとっても魅力ある故郷となる。働く場がなくいったんは村を離れたが、祖父や父が守り続けてきた農業を受け継ぎたいと、最近では何人もの20代30代の人が村に帰ってきている。さらに役場には毎日のように、Uターン、Iターンの問い合わせ電話が掛ってきているという。

(文・八田尚子/写真・大西暢夫)