あぐり市で出会う!
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あぐり市で出会う!

直売所の次のステップ

 あぐり市で出会うのは、一般の消費者と農家だけではない。このイベントを立案し、中心となって取り組む鈴木光一さんは、あぐり市から生まれるさまざまな可能性にさらに大きな期待を感じている。

 種苗店を経営、野菜苗づくりも営みながら、農業に励む鈴木光一さん。鈴木さんの畑では年間じつに100種類もの品種の野菜が育つ。2003年からは、毎年ひとつずつ地域ブランド野菜を選定して、他の農家メンバーと生産し販売する「地域ブランド野菜づくり」にも取り組んでいる。それらの野菜は、自宅横の直売所や市内スーパーマーケットなどで直売され、お客さんにも好評だ。

 そんな直売・直売所のノウハウや可能性をよく知った、直売所名人ともいえる鈴木さんが、次のステップとして思いいたったことがある。それが地元の飲食店などさまざまな人たちにで野菜を使ってもらうことだった。

写真あぐり市の中心メンバーとして活躍中の鈴木光一さん。手にしているのは赤皮で味もおいしいカボチャ品種「紅爵」
写真地元スーパーで販売中の地域ブランド野菜「ハイカラりっくん」。ブランドは毎年1品目増やしていて、エダマメ、ニンジン、キャベツ、インゲン、ナス、ネギと今年で6品目になった

 地元を見渡せば、飲食店、ホテル、旅館、病院、弁当屋など、日常的に食材を必要とする場面はたくさんある。そして、それに携わる人たちの多くが、じつは地元が大好きで、地元らしい特色のある食べものを使いたいと考えている。しかし、そういう人たちと農家が出会う機会は案外少ない。自分の野菜をアピールし、知ってもらうための出会いの場をつくれたら。それが、“作品発表会”のはじまりだった。

地元の業務と農家が出会う

 こんな野菜が地元にあるよ。そうした農家からのメッセージを地元のさまざまな人がも待っていたようだ。実際、あぐり市の“作品発表会”には、毎回飲食店やレストランの関係者がたくさん訪れ、そこから生まれた出会いで、レストラン、料亭、飲食店、ホテル、旅館などとの契約販売がすでにはじまっている。

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出会いのひとつ。郡山市にあるホテル「ハマツ」では毎年、地域ブランド野菜を使ったブッフェ企画を開催。画像は昨年度のパンフレット。会場では鈴木さんの解説やお土産として野菜も販売。たいへん好評で今年も開催された

 この出会いは農家にとっても嬉しい。シェフや料理長との出会いは、農家の新しいやり甲斐につながった。カクテルバーで野菜のカクテルをつくる材料として注文がきたことがある。農家が予想もつかない発想で、自分の野菜が料理に使われる喜び。農家は「それならもっといい品種はないかな」と探したくなる。お互いに切磋琢磨し刺激しあえる関係。鈴木さんは、これこそまさに「顔と顔が見える関係」と感じている。

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農家が予想もつかない発想をもったシェフや料理長との出会いは農家にとっても嬉しい。こうした出会いをあぐり市でつくりたい(撮影:黒澤義教)

 もうひとつ大事なことがある。レストランや旅館の関係者のなかには、農家から直接買えば安く手に入る、という考えの人もいる。そういう人との取引きはけっきょく長続きしない。自分の“作品”と提案をどう受け止めてくれるか。たとえば、地元の野菜や素材を活かして売りにしたいと考える人なら、カラフルな品種・珍しい品種、地域ブランド野菜の提案にも強く反応してくれる。農家にとっては、そうやって相手の違いを見分ける出会いの場でもある。

 地元のさまざまな職種と農家が出会い、地元が潤う。農家はやり甲斐を持って農業に取り組めて、もちろんお客さんも嬉しい。あぐり市の“作品発表会”からいろいろなことが始まっていく。

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昨年の冬に開催されたアグリ市の様子。カラフルな野菜の鮮やかさが目にも楽しい

◆参考リンク:
《ホテルハマツ》
 http://www.hotel-hamatsu.co.jp/

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