味わいで選ばれる米粉パンの時代へ

地元の米でつくる
福盛式シトギ 米粉パンの教科書

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食料・農業・農村
「21世紀の日本を考える 第46号」より

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米粉パン周辺の新たな動向

――発行後、本への反響はどのようなものがありますか?


福盛 いくつか問い合わせが来ています。指導を請われて、今度、マンツーマンで教える機会もつくりました。最初は福岡の主婦の方で、本を読んで「米粉パンの店を開きたい」と連絡をくれたのです。僕の店に一週間通って、米粉のパンづくりを覚えてもらいます。

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米粉パンは直売所にふさわしい

――一週間できちんとマスターできるのですか?


福盛 米粉パンは小麦粉での生地づくりのようにガスが出るわけでもないし、寝かせる時間も短時間なので、パンづくり未経験者にも扱いやすい。そのことは本にも載せていますが、だからこそ米粉パンは「道の駅」や「直売所」にふさわしいパンというわけです。


――最近の地方の動向では、どのようなところに注目されていますか?


福盛 JAに動きがあります。これまで僕が要望を出しても見向きもしてくれなかったのですが、四国の高知や徳島で製粉を始めました。製粉機械を購入して米粉の活用に乗り出したのです。これはいい変化だと思っています。

 なぜって、JAなら地元の米を使うでしょう。外国の事故米とかを入れる心配がない。そして、そういう信頼性、安心を買おうというパン屋も現われました。他で挽いてもらっていたのを、さっそくJAの粉に切り換えた所が現われたのです。

 こうしたJAの動きは、やはり米粉需要の拡大を図った農水省の補助金のおかげでしょう。

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JAも製粉機械を導入し始めた

――「新規需要米の特例措置」ですね。


福盛 でもね、ばらまきだけじゃダメ。補助金が下りるからといって、全国の自治体で粉を挽くようになったらどうなると思う?

 製粉した粉の価格は安定できるのか、消費は確保できるのかそれらをきちんと考えてから導入しなければ……。結局、需要がなくてしまいには「月に一回だけ機械を動かしています」なんてことになってしまう。それじゃ、いわゆるハコモノ行政と同じでしょう。

 それに製粉しても、結局、うまくパンができない粉もあるんです。それなのに非常に高額な機械を購入して、地元の政治家が嬉々として製粉所の開所式なんかに参加している。パンができる機械、できない機械、それを、補助金を出す国のほうも、ちゃんと勉強してほしいですね。


――米粉が注目されればされるほど、危うい部分もあるわけですね。


福盛 そう。事実、すでに補助金狙いのビジネスができていて、「製粉所をつくるなら機械を世話します。厨房機具も世話します。材料屋さんも紹介しますよ」という業者が出てきている。そうした所はおいしいパンができるという裏づけもないのに、機械や道具で儲けようとしているわけ。そんなものが広まったら、たまったもんじゃないでしょ。

 「道の駅」をターゲットにして、原材料を高く売っているところもある。僕はそういう粉でパンができるかテストしたことがあるけれども、パンにはならなかった。それに原料の価格が高ければ小売にも影響して、結局、集客できないものになってしまうでしょう。

 それらはまがいものなのに「やっぱり米粉パンって、おいしくない」となってしまう。そんな風に評判が落ちることが一番心配なのね。


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