江戸東京野菜をキーワードに農商行政連携の町おこし

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小金井市と江戸東京野菜

農住混在の町・小金井市の魅力とは?

 小金井市で江戸東京野菜関連の催しが開かれるとき、裏方として常に立ち働く市民グループがある。「NPО法人 ミュゼダグリ」のメンバーである。“ミュゼダグリ”とはフランス語で“農の博物館”という意味で、農業を産業、文化、歴史、科学など、幅広い視点からとらえようと活動を続けている。理事の土井利彦さんに話を聞いた。

「小金井市の魅力は、住宅地と農地が混在する町ということです。しかし市内の農地は年々減少しています。地産地消、食料自給率向上の大切さをいくら主張しても、農業に元気がなければ、“農住混在の町・小金井市”の魅力はなくなってしまいます。そこで、都市郊外の農地をどう残すか、そのために農家が経営を続けられる仕組みをどのようにつくるかという発想から、江戸東京野菜に着目しました」

 最初の活動は2004年11月、土井さんと、都市農業の活性化に取り組む東京農工大学の大学院生と協力して開いた、公民館の連続セミナーである。受講者は、江戸東京野菜による町おこしをテーマに、小金井の農地をどう守るのか、江戸東京野菜にはどんな野菜があるかなどについて学び合った。

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NPO法人ミュゼダグリ理事・土井利彦さん
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ミュゼダグリHP
http://www.musee-d-agri.org/

ついにプロジェクトがスタート

 セミナー受講者は、江戸東京野菜のタネを集め、保存に取り組んでいる東京都農場試験場江戸川分場(現:農林総合研究センター江戸川分場)の見学を行いさらに、東京学芸大学環境教育実践施設の農場の一部を借りて伝統小松菜などの栽培にも取り組んだ。

 さらにセミナーを契機にして「ミュゼダグリ」と、地域の商業・農業の活性化に取り組む行政サイド=小金井市との連携が生まれる。

 そして2006年3月、小金井市は隣の三鷹市や東京都と連携して、「江戸」をキーワードとする、地域資源を活用した産業活性化策を策定。そして、名水・湧水を地域資源とするプロジェクト、江戸東京野菜による食体験、食文化などを地域資源とする「江戸東京野菜 創・再生プロジェクト」が小金井市でスタート。ミュゼダグリもこのプロジェクトに積極的に加わった。

 かつては豊かな農地が広がり、江戸後期には大消費地・江戸市中の食料供給を担っていた記録が残る小金井市。市北部には、江戸から昭和初期の歴史的な建物を移築し展示している「江戸東京たてもの園」があり、さらに東京農工大学の小金井キャンパス内には江戸時代からの養蚕や製糸、織機類を収蔵・展示する「東京農工大学科学博物館(旧・繊維博物館)」がある。小金井市は、他の自治体では真似のできない、江戸東京の歴史・文化を伝える「住」と「衣」に深いかかわりをもつ町なのである。

 「住」と「衣」とくれば次は、「食」である。

 江戸東京の食文化・食生活を支えた江戸東京野菜の取り組みを加えることにより、小金井市は江戸東京の「衣」「食」「住」を体験できる町となる。このアウトラインが描けたことで、江戸東京野菜をキーワードにした地域活性化の骨格が見えてきた。

江戸東京たてもの園で江戸雑煮を味わう

 「江戸東京野菜 創・再生プロジェクト」の第1回イベントとして、2007年1月21日、〈江戸野菜で味わう小正月 江戸雑煮を食べよう〉を江戸東京たてもの園で開催した。

 参加希望者を募ったところ、予定人数の4倍にもあたる2000人の応募があり、当日は500人の来場者が伝統小松菜と亀戸大根を使った昔なつかしい雑煮を楽しんだ。またビジターセンターでは、江戸から明治の正月の様子や江戸野菜をパネル展示。当日の盛況の模様はテレビニュースでも報道されるなど反響が大きく、主催者側は地域活性化の手ごたえをつかんだのだった。

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江戸東京たてもの園で行われた「江戸東京野菜 創・再生プロジェクト」のイベント(写真は2008年の第2回の様子)


◆参考サイト
《NPО法人 ミュゼダグリ》
http://www.musee-d-agri.org/
《江戸東京博物館》
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/



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