地域循環型農業で実現した完全米飯給食
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食べる喜びとつくる喜びが循環する

「ごはん、大盛り!」「ぼくも!」

 大声で叫ぶ子どもたちの要望に応えて、給食当番の子が山のようにごはんを盛りつけていく。完全米飯給食のモデル校に選定された八津田小学校の3年生は、入学したときから米飯給食を食べている。配膳が終わり、「命の宝をいただきます!」というあいさつももどかしげに、炊きたてのごはんに手を伸ばす。完全米飯給食の実施後に、子どもたちから聞き取り調査を行った秋永さんは、低学年から米飯給食にすることの重要性を次のように話す。

「高学年はパンや洋食も好きという意見があるのに対し、低学年では『ごはんが大好き』『魚が好き』という発言が圧倒的に多いことから、低学年から米飯給食を実施することによって健全な味覚と食習慣を育てることができると考えられます」

 生産農家が子どもたちの健やかな健康を願って心を込めて栽培した米を、調理員たちが愛情を込めて炊き上げたごはんは、子どもたちが競っておかわりを求め、配膳後に残ったごはんも取り合いをする。残食はほとんどない。その事実が調理員の喜びにつながり、給食米を配達する学校給食米部会長の田中さんに伝えられ、生産農家の意欲も高まっていく。この町では、有機物が循環するだけでなく、食べる喜びとつくる喜びも循環している。

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八津田小学校では、給食を食べる前に、手を合わせて「命の宝をいただきます」とあいさつする
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ごはんが大好きな子どもたちは、おかわりを求めて手を挙げる
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町内の小学校の学校田では、5年生が液肥を利用した循環型農業で米を栽培する。田植えをした後には、水田が養う小動物を探して観察する「生き物観察会」を行う

 築上町の小学校では5年生の子どもたちが育てる米を学校給食に供しているが、町では米だけでなく、野菜も子どもたちがつくる自給的な給食にするための食育基本計画の策定に着手した。

「いずれは1年生から6年生までが学年ごとに多様な農産物を栽培する、自給自足的な学校給食にしたいと考えています」(田村さん)

 困難の末に地場産米の完全米飯給食を実現させた築上町なら、その構想をも必ず実現させることだろう。

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子どもたちは校区の農家の指導を受けながら、田植えと稲刈りだけでなく、なつかしい田の草取り機を使って除草も行う

(文・写真 佐藤由美)