農村にとって直売所は最大唯一の希望の星

田舎の本屋さんで購入する
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直売所運営の基本

 直売所に仕入品を置くか置かないかは、各店舗の経営判断だと思いますが、私は仕入れ品を置くなら、売上げの2割以内といつも言っています。なぜかというと、仕入品が売上げの2割を超えると、売場では5割を超えてしまい半分以上が仕入品になってしまう。こうなると、お客さんは地物にこだわっていますから面白くないんです。

 直売所はスーパーのようにいつでもどこでも同じ物を揃えていますという世界ではなくて、基本的に地元でそのときに採れる野菜を売るというやり方です。つまり、今は時期じゃないからありませんというように断れる世界です。そのかわり、「地元の旬の野菜はこれですよ」ということを強力に押し出さなければいけない。地元の旬がひとめでわかる仕掛けをしないとだめです。

 消費者は「地元の野菜を採りたてで食べるのが一番おいしい」ということに気付いています。地方では直売活動が完全に根付き、スーパーもどんどんインショップを併設しています。そうしないとお客さんが来なくなっている。基本の流通は地産地消だというふうに時代が変わったんです。

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インショップを併設するスーパーも増えている

競争時代の対応策

 今は直売所がまだまだ伸びる時代ですが、一部の県では直売所同士の競争も始まっています。また、スーパーのインショップとの間で農家の取り合いも始まっています。ホームセンターに直売所を併設したいという相談も受けます。私が直売所は儲からない商売だから止めた方がいいですよと言っても、直売所で設けなくても客さえ集まれば本業で儲けるからいいと言われます。都市近郊ではホームセンターとの競争が始まるでしょう。

 直売所というのは安売りした人は儲かりません。競争がある地域では、値崩れを防ぐために店として売り値幅を決めるケースが増えてきています。 

直売所は地域社会への貢献が求められている

 今や、農産物直売所というのは出荷している農家だけのものではなくて、地元住民全員のお店になってきました。「わたしたちの町のお店」なんだというふうに意識が変わってきています。学校給食や福祉施設の給食への食材供給など、直売所が地元の活動に参加するという例がどんどん増えています。地域における地産地消の橋渡し役を直売所が担うようになったのです。

 他にも、消費者向けの農業体験や農村体験を企画したり、市町村合併によって役場が無くなった農村地域では、直売所が活性化拠点として期待されています。

 都市住民からすると、農村の施設というのはある意味では非常に入りづらいですが、直売所というのは気軽に入れます。その特徴を生かして都市住民との交流拠点にもなり得ます。

 直売所というのは地域によっていろんな位置付けが出来ます。農山村部では地域の活性化拠点になるという話をしましたが、大都市近郊では農家の生き残り策としての位置付けが出来ます。

 バブルの頃には、東京の地価が高いのは農地を残しているからだと言う人もいましたが、そういう意見に対して大都市内でも農業・農家は大切なんだというアピールの場になります。金銭面だけで考えれば農地を売ってしまった方が楽かもしれませんが、そういうことではなく都会でも農家は必要なんだということを直売所を通じてアピールしていかなければいけません。

 今や直売所というのは農村にとって「最大唯一の希望の星」と言っても過言ではありません。直売所をどんどん活用していくことが重要になってきているのです。



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